これは、昨日のお昼の話である。
ここ1年ほどは、例の件で、よっぽどのことがない限り、外食をすることはなくなった。
一人で外食をすると言えば、2か月に1回程度の定期検診で、いつも決まったレストランに行って昼食を摂ってから検診に向かうのが恒例となっている。
そして、昨日の定期検診の日。
私が訪れるのは、平日であり一人なので、大抵はすぐにカウンターに案内される。
・・・カウンターがあるという事は、庶民的なレストランとおわかりであろう。
ところが、なぜかその日に限って、
カウンターに手頃な間隔の空きがなくて、
店員さんに4人席のテーブルに案内された。
そのテーブルには、真ん中に水の入ったコップが置いてあった。
また随分と用意がいいなあと思って、他のテーブルも見渡してみたが、私のついたテーブルにしかコップは置かれていない。
アレ?
私が、店内に入った瞬間に、あの店員さんは、私が座る席を決めて、さっと準備をしたのだろうかと、キョロキョロしつつ考えていた。
すると、別の店員さんが、私のところにやってきて、
「あの、すみません。
ここは、他の方が座っていらっしゃいます。」
と言うのと同時くらいに、一人の男性が、テーブルの近くまで歩いてきていた。
私は、とっさに、
「あっ、ここに案内されたので・・・。」
と言うのが精一杯であった。
「申し訳ございません」と頭を下げながら、その店員さんは、私を別のテーブルに案内してくれた。
「決まりましたら、お呼びください。」
と言って、戻ろうとしていたので、すぐに、
「中華丼、ひとつお願いします。」
と注文を出した。
もともと、このレストランに来たら、中華丼を食べることに決めて来たのである。それは、ここ2年近く同じことの繰り返しである。
さて、料理が届く間、ずっと私は考え込んでしまっていた。
最初に案内した店員さんが、先客のことに気が付かなくて、間違ってしまったのだろうか。
私が、勘違いして、案内した場所ではない先客のテーブルに付いてしまったのだろうか?
でも、それなら、「そちらではなく、こちらにどうぞ。」みたいな流れになるのではないだろうか。
だから、店員さんが間違ったことは確かだろう。
しかし、これだけは、はっきりと言える。
コップの水を飲まなくて良かった!!
これが、夏の暑い時期なら、テーブルにつくと同時に、コップの水をまずは、一口いただいていたに違いない。
いや、待てよ。
それは、それで良いとして、私が取った対応は、あれで良かったのだろうか?
『ごめんなさい』と、ひとこと言うべきではなかったのではないか?
それとも頭を下げるだけにしておいた方が良かったのか?
「案内されたので」と言っただけだったのは、(私は悪くない)と言う態度でいたも同然。
先客さんに対しても、店員さんに対しても、失礼な態度に見えたかも知れない。横柄なやつだとまでは思われないにしても・・・。
そんなことを考えているうちに、中華丼は運ばれて来た。
熱っ!と、ふうふうしながら食べている間も、さっきの言動が頭の中をぐるぐると、よぎっては消え、そんな繰り返しで、ゆっくりと味わうことができなかった気がする。
食べ終わって、レジに向かう途中、さきほどの最初のテーブルの前を通ったとき、その先客らしき人が、まだ食事中であった。
一瞬、目が合ったような気がしたけれど、無言で通り過ぎて、会計を済ませた。
その会計の間も、車に乗って、検診に向かう間もずっと考えていた。
今度は、すれ違う時の事だ。
「さっきは、どうも失礼しました。」とでも、言っておけば良かったのか?
しかし、さっきの方ではなく、別の人だったら、??となるし。
最初についたテーブルで、先客さんが近くまで来ていたのは分かったけど、顔までは見ていない。
顔を見ておくべきだったのか、見ない方が正解だったのか、はたして??
(考え過ぎで、別の病気だな、これは。)と思ってしまった。
忘れよう、もうこんな話と思ったものの、これを書いているのは、実に未練がましい?
器の小さい人間としか言いようがない私なのであった。